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CSRの定義とは?

公開日: : CSR論

CSRの定義とは?

CSRとはなにか?

この問いに対する答えは、それこそ星の数ほどあります。

CSR業界の永遠のテーマだと言っても過言ではないでしょう。

ただ、CSRという言葉の定義に関しても、数多くありますが、2010年にリリースされた欧州委員会の政策文書の定義が、いまのところスタンダードなものだと考えられているかと思います。

そう考える理由はいくつかありますが、そもそもCSRという概念自体、90年代のヨーロッパで生まれたものであり、その意味でヨーロッパは常にCSR最先端でありました。また、ヨーロッパの人間は言葉の民ですから、言葉の定義も非常にうまい。簡潔にして本質的な表現で、ある概念を定義づけることがうまいわけです。ですから、CSRの定義に関してもわかりやすく、本質的な定義である。そう思いますし、そのような評価も得られています。

その欧州委員会がCSRを最初に定義したのは2001年で、この時の定義は、

「企業が社会および環境についての問題意識を、自主的に自社の経営およびステークホルダーとの関係構築に組み入れること」

というものでした。

ここで注目して欲しいのは「自主的に」という言葉です。

CSRとは、企業が「自主的に」行うものと定義されています。

日本ではコンプライアンスがCSRの一部であるように理解している企業もまだありますが、コンプライアンス=法令遵守とは、その言葉通り、法令を守ることですから自主的なものではありません。ですから、コンプライアンスはCSRではありません。

ちなみに、中小企業のオーナー社長などに「自分は多額の税金を毎年払っているから、ちゃんと社会貢献している」と主張する人もいますが、納税は憲法に定められた国民の義務です。義務を果たすことは「貢献」ではありあません。貢献とは、CSRと同様に自主的なものでが、それはさておき。

その欧州委員会も、2010年の政策文書でCSRを新たに定義し直します。

これは、時代が変わったということもあり、また欧州委員会自体がCSRというものへの理解が深まったからだと思います。

その新しい定義によれば、

CSRとは、「企業の社会への影響に対する責任」のことです。

具体的には「株主、広くはそのほかステークホルダーと社会の間での共通価値の創造(CSV)の最大化」と、「企業の潜在的悪影響の特定、防止、軽減」の2つを推進するとしています。

2010年にマイケル・ポーター博士がCSVの概念を発表した時、日本のCSR関係者にも大きなインパクトを与えました。

「これからはCSVの時代だ!」という声も多数、聞こえてきました。

「CSRはもう古い。これからCSVだ!」という論調もありました。

弊社もポーター博士のCSV以前から「儲かるCSR」を提唱してきたこともあり、このような論調も理解できなくはありません。

しかし、欧州委員会のCSR定義が世界のスタンダードだとすれば、CSVはCSRのひとつの側面でしかないという議論もまた成り立ちます。

実は、CSRに関する議論は神学論争に似たところもあり、厳密な議論を行うと、どんどん実学から離れて行ってしまうという危険性があります。

CSRとCSVの関係や違いについての議論だけでも、やろうと思えば本の一冊や二冊くらいは平気で書けるようなものですが、企業がどこまでその議論を突き詰めるべきかについては、これまたさまざまな味方があるかと思います。

しかし、本質的なことはいつもシンプルなものであり、またシンプルでなければなりません。

その意味では、欧州委員会のCSR定義は比較的、かなりシンプルなものであり、かつ本質的なおのだと思います。

ですから、CSRの本質とはなにか?を考える時には、この欧州委員会の定義を基本に考え、議論することが妥当であると考えます。

 

 

 

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